2021年6月4日から公開されている「るろうに剣心 最終章 The Beginning」を観てきました。
前作の「るろうに剣心 最終章 The Final」の感想で作品としては面白いながらもいくつか疑問を持ちました。
- 盛り上がりとして、『人誅編』を最後にするべきではなかったか?
- 『追憶編』となる「The beginning」のネタバレが多すぎないか?
詳しくはこの記事で書いています。
なぜ剣心の過去である『追憶編』を最後にしたか?
結果として先に出すと
- 前作「The Final」までと作風が違う
- 剣心の過去をしっかり描くことが「るろうに剣心」の完成形であるから
ここからさらに詳しく書いていきます。
過去シリーズと違った作風
今作は緋村剣心がまだ人斬り抜刀斎として恐れられていた時代の話です。
倒幕派を率いる長州藩の桂小五郎の元で人斬りをしていました。
冒頭のシーンから見せる姿はまさに別人。
悪役としての姿がそこにありました。
ホラー映画のような空気と、静かなる殺意を漂わせる抜刀斎。
過去シリーズとの真逆の姿、映像も音楽も暗い、剣心の過去なのにほんとに別作品だと思いました。
『人誅編』と並行して過去を見せた方がいいと今までは思っていましたが、考えが変わりました。
大友監督は剣心の過去を中途半端に作りたくなかったのでしょう。
「The Final」ではストーリーとしての完結を求め、
「The beginning」ではるろうに剣心の完成形を求めたのだと思います。
「The Final」であえてネタバレをしていた
気になるポイントとして「The Final」で「The beginning」のネタバレをしていたことがありました。
剣心に雪代巴という奥さんがいたことが明かされていましたが、同時に十字傷の謎も映像で判明していました。
十字傷の一つの傷は巴がつけたもの。
このシーンが何度も流れた為に、「The beginning」のインパクトやオチが薄まってしまうのではないかと気になりました。
しかし最後まで観て思ったこと。
それはあえてネタバレをしていたということです。
前作では剣心が巴を斬りつけるシーンが強く残ったと思います。
このオチが読めていることによって、剣心と巴の関係に感情が込めやすくなります。
この先に起こる悲劇を想像し、
- なぜ巴が剣心を守ろうとしたか?
- 剣心が巴をどれだけ大切にしたか?
という骨組みが埋まっていくのです。
剣心が人斬りから少しずつ人としての心を持つ描写を丁寧に描きたかったのだと思います。
そして剣心がどれだけの傷を背負ってきたのかを。
そしてるろうに剣心が始まる
巴を失い、再び戦い、そして1作目の冒頭のシーンへとつながっていきます。
あの時の剣心はこんな痛みを背負っていたのかとわかり、シリーズの最初から剣心を追いたくなるのです。
過去編(追憶編)にして完成へと持っていく、いままでに無いシリーズの作り方ではないでしょうか?
物足りなさを感じるところも
過去の4作品はキャラクターもアクションもとにかく派手でありました。
次から次へとめまぐるしく繰り広げられるアクションは爽快でした。
今作はそのようなアクションは控えめです。
タイマンとしても新撰組の沖田がメインくらい。
最後の辰巳との戦闘は剣心が瀕死状態ですからね。
その辺が物足りないと感じるかもしれません。
激しさは薄まりましたが、
静と動
という見せ方が、時代劇のような魅力を出していましたね。
まとめ
シリーズとして賛否が分かれるかなとも思っています。
作風が違う、シリアス展開、新キャラの情報量。
ただ役者さんが渋いメンツなのが個人的によくて、みんなが自然に馴染んでいますね。
変にインパクトや過剰なキャラクターや役者が出るよりいいです。
そしてやはり、大友監督がるろうに剣心をしっかり愛していたからこその「The beginning」なのではないかなと思います。
軽い言葉になってしまうかもしれませんが、るろ剣ファンへのプレゼントのような気がします。
以上が考察レビューでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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