ルックバックの原点が読める『藤本タツキ短編集「22~26」』の薦め

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書籍

「チェンソーマン」「ルックバック」でお馴染みの藤本タツキ先生の短編集が発売されています。

短編集は2冊に分かれていて、今回ご紹介したいのは後半に発売された「22~26」です。

「17~21」でも才能溢れた世界観を繰り広げていましたが、「22~26」ではより踏み込んだものが多く、「チェンソーマン」「ルックバック」に通ずるものが収録されています。

読みきりなどですでに読まれている方も、最近藤本タツキ作品に触れている方も読んでほしい短編集です。

それではご紹介していきます。

全4作品の短編を収録

この短編集には4作品が収録されています。

  • 人魚ラプソディ
  • 目が覚めていたら女の子になっていた病
  • 予言のナユタ
  • 妹の姉

人魚ラプソディ

海中のピアノが繋ぐ少年と人魚の恋。

藤本タツキ先生、こんなドストレートな恋愛シナリオも描くのか~と思っていたら、あとがきで理解しました。

タツキ先生いわく、その時の編集長に普通の話を描けないと言われてなにくそ精神で描いたとのことでした。

確かに王道展開で、女の子(人魚)もツンデレキャラでかわいい。

人間と人魚だから、悲劇が起きるだろうと思っていた自分は心が汚れています。

海中でピアノを弾く描写はとても美しく、新鮮な魅力を楽しめました。

目が覚めたら女の子になっていた病

これまたラブコメにありそうなテーマで、タイトル通りな内容です。

途中から付き合っていた彼女の兄が登場して、そっちにいくか~と思っていた自分は心が汚れていました(笑)

このようなテーマで短編としてまとまっているのもなかなか珍しいなと思いました。

現代でこのタイプの漫画はいろいろと叩かれそうな感じもあります、漫画であってもライン引きが難しくなった世の中ですね。

予言のナユタ

「チェンソーマン」1部の最後に登場したナユタ。

ここに登場するナユタは兄がいたり、魔法が使える舞台設定だったりと、世界線が別のナユタです。

タツキ先生のあとがきいわく、編集長から個性的なキャラクターを描けないと言われなにくそで描いた作品とのこと。

シュールさやバイオレンスなところ含めて、「チェンソーマン」の世界の臭いがして安心しました。

マキマさんがいなくなる2部の心配はありましたが、この作品を見てむしろ期待値が上がりました。

個性というより、なぜか憎めないキャラクターを生み出すのがタツキ先生の魅力だと思います。

妹の姉

この記事のタイトルにもしている「ルックバック」の原点はこの作品です。

絵から繋がる才能と愛憎の関係は、ほんとにそのままですね。

2人の性格ややりとりも似ています。

異なる点としては悲劇のない明るいオチで終わること。

実際問題、タツキ先生の意図も含めてあのような悲劇の展開があったからこそ、たくさんの注目を集めたところもあります。

しかし根本で書いている才能と愛憎は、血の繋がった家族関係である今作の方がより濃いものを感じます。

もちろん向こうも家族同然な環境ではありますが。

悲劇の事件で感じる不条理さに埋もれてますが、「妹の姉」を読むことにより「ルックバック」のメッセージ性をより深く受け止めることができるのではないでしょうか?

まとめなあとがき

短編集を読んで全体的に感じることは、すべて不条理と隣り合わせなことです。

人種、性別、能力、才能、と常に不条理なものとぶつかるか向き合わないといけないのです。

決して敵ではなくても、背負って生きていかないといけないこの世の中を表していると思います。

単純に作品としても楽しめますが、藤本タツキ先生のルーツもたどれて非常に魅力的な短編集です。

また最後にタツキ先生から懺悔のエピソードがありますが、ここまで含めて短編集でしょう。

「チェンソーマン」の生姜焼きシナリオの原点はここでした。

ぜひ読んでいただきたい短編集です。

最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。

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